AS/400の特長
目 次





リレーショナル・データベース
リレーションとはデータレコードをプログラムへ渡す方法です。 その方法は大別して、
SORT,SELECT,PROJECT,JOIN
の 4通りです。
これらは、具体的には論理ファイルとよばれるファイルの形で サポートされます。

SORT レコードを指定の項目順に整列してわたす方法です。 指定のキー順の
論理ファイルによってサポートされます。
この論理ファイルを定義することにより、いつでも希望の キー順のファイ
ルがえられ、一般のコンピュータにみられる、SORT+印刷の処理パター
ンはなくなります。
SELECT 指定のデータレコードのみを選択してわたす方法です。
何百万件ものデータレコードから、数千件だけの請求データを 抜き出す
処理をするなどということは、不合理です。
このタイプの論理ファイルでは実際にアクセスされるのは、 該当データ
レコードだけなので、処理速度は飛躍的に向上します。
PROJECT データレコードのフィールドは時に数百件もの項目からなります。
実際の処理で本当に必要なのは、往々にして10件にも満たないことが
あります。
PROJECTではフィールド項目を選択して、プログラムに わたします。
余計なミスや、処理効率の向上が得られます。
JOIN データは正規化を行い重複をさけたファイル設計を行うのが 普通です。
逆に使用するときは逆正規化をします。この逆正規化をするのがJOINです。
得意先マスターが得意先名を持ち、売上明細は得意先コードだけで 得意
先名を持たないような場合、両方に共通な得意先コードでジョイントして、
得意先名付の売上明細をJOINファイルとして得ることができます。
ジョインファイルを使用すると、プログラムをシンプルにすることができ、プログ
ラムの精度を上げることができます。リレーショナル・データベースをアプリ
ケーションレベル・あるいはミドルソフトのような準アプリケーション・レベル
でサポートすると結構OSに負担をかけるのが通常です。
AS/400ではハードウエアあるいはファームウエアのレベルから、リレー
ショナル データベースの処理を念頭において設計がなされているので、そ
のパフォーマンスが落ちないのが特長です。

レコードレベルの排他制御

AS/400ではファイル単位の排他制御に加えて、標準でレコード・レベルの排他制御を行っています。
レコードレベルの排他制御を行っているシステムは意外に少なく、OS自身の標準機能としているのは、
AS/400だけでないかと思われます。
ファイルレベルでの排他制御の機能しかない場合、会話型処理の設計をよほどうまく工夫しないと、
パフォーマンスがあがらない上、デッドロックが発生したりしがちです。
AS/400でこのような心配をすることなく、システムの設計を行うことができます。


単一記憶方式
1950年代の後半に発表された仮想メモリーの技術は、汎用機に採用されたものの その後のメモリー価格の
低下とともに他のオフコンのレベルでは、殆ど採用されることなく推移しています。
AS/400ではその前身のA/38のモデルのときから、主記憶装置からファイルまで 含めた、単一記憶方式と
呼ばれる仮想メモリーを採用しています。
すなわち、プログラムの命令に対するアクセスもファイルのデータに対するアクセスも基本的には同じ扱いと
するもので、プログラムやファイルを、外部の記憶装置のどこに配置すれば効率的かということを、
システムにまかせてしまおうとするものです。
よく、CPUやメモリーのクロックが高いと処理速度が早いと思われがちですが、 コマーシャルベースの
計算においては、殆どがI/Oバウンドの処理であり、特にハード ディスク装置のアクセス・アームの移動を
最小量に押さえることこそが、処理速度向上につながります。
例えば、仮想メモリー方式により、8割のヒット率でデータが主記憶装置にあるとすれば、5回必要な外部との転送は
1回ですむことになり、処理効率は飛躍的に向上が見込まれます。
S/38からAS/400に引き継がれた、VSのアルゴリズムは非常にすぐれており、 処理速度を驚異的に高めています。
世間一般のオフコンレベルより、数倍の速度を 実現しているようです。
他の機種にリプレースを行おうとするような場合、逆に注意を払わねばならない事項になります。
即ち、AS/400の処理で1時間かかっているのバッチ処理があるような場合、他機種ではほとんどの場合、
3〜5時間の処理時間になってしまうからです。


わかりやすいマンマシンインターフェース
以上に述べたような利点に加え、AS/400で特筆されるのはユーザーインターフェイスが 非常によいということです。
それを支えるのは、きれいに整理されたコマンド体系と、 強力なHELP機能です。


整理されたコマンド体系

AS/400のコマンドは、原則として動詞+対象物の形をしています。 動詞の主なものは,CRT(CREATE),
DSP(DISPLAY), CHG(CHANGE),DLT(DELETE),WRK(WORK)などです。 そして、対象物が変っても
これらは変りません。すなわち、一度これらの動詞がなにをするか 理解すれば、対象物が変っても、使用するコマンドは
簡単にわかります。 他の機種にみられるような、LIST,TYPE,PRINT,DISPLAYなどの コマンドそれぞれが
よく似た働きをし、それでいて微妙に働きが違うなどということはないのです。



コマンドプロンプト機能

コマンドを入力する場合でも、そのコマンドに与えるパラメータ情報についても、F4キーを
押すことにより、プロンプト画面を表示させることができ、コマンド入力を助けてくれます。
例えば、RPGをコンパイルするときは、CRTRPGPGMというコマンドを使用しますが、
CRTRPGPGMと入力して、F4キーを押すと残りのパラメータのためのプロンプト画面が
表示され、パラメータ入力を助けてくれます。(下図参照)
                      RPG/400 プログラムの作成  (CRTRPGPGM)                   
                                                                              
  選択項目を入力して,実行キーを押してください。                              
                                                                              
  プログラム  . . . . . . . . . . > LM420          名前 , *CTLSPEC            
    ライブラリー  . . . . . . . . >   WRKLIB       名前 , *CURLIB             
  原始ファイル  . . . . . . . . . > QRPGSRC        名前 , QRPGSRC             
    ライブラリー  . . . . . . . . >   WRKLIB       名前 , *LIBL, *CURLIB      
  原始メンバー  . . . . . . . . . > LM420          名前 , *PGM                
  生成重大度レベル  . . . . . . .   9             0-99                        
  テキスト ' 記述 ' . . . . . . .   *SRCMBRTXT                                
                                                                              
                                                                              
                   追加のパラメーター                                         
                                                                              
  プログラムの置換え  . . . . . . > *YES          *YES, *NO                   
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                              
                                                                         終り 
 F3= 終了    F4=プロンプト   F5= 最新表示    F10= 追加のパラメーター             
 F12= 取消し              F13= この画面の使用法    F24= キーの続き            


強力なHELP機能

もう一つのユーザーインターフェイスのよさは、強力なHELP機能です。
たとえば、実行時にメッセージ行(24行目)に何かメッセージが表示されたとします。
これが十分理解できないときは、その行にカーソルを移動して、さらにHELPキーを押すことにより、
より詳しいメッセージが表示されます。
エラーが発生して応答を求めるメッセージが表示されたときでも同じです。
また、コマンドプロンプト画面においても、第一行目のタイトルにカーソルを当てて、HELP キーを押すと、
コマンドの機能についての説明が表示されます。
すなわち、AS/400においては、ほとんどマニュアルを 必要としないで作業を続けることができます。
さらにこの説明はプリントアウトすることもできます。



信頼性

単一記憶方式を支えるVS方式の弱点は、ディスク障害などによる停止のときダメージがシステム 全体に及ぶということが
いわれています。
5インチハードディスクが使用されていた時代に そのようなケースがあったことを間接的に伝聞したことは
ありますが、3.5インチハードディスクが 使われ初めてからのマシンでは、狭い経験ですが、そのような
トラブルは直接も間接的にも聞かれません。
逆にUNIXマシンなどにない信頼性から、インターネットのファイル・サーバー としての利用が増えていると聞いています。


安全性

ダウンしにくいという信頼性のほかに、UNIXやPCにあるようなウイルスが、AS/400に対しては報告されていません。
重要な業務をサポートするための基幹システム・マシンが、ウイルス感染の危険性をはらんでいるようでは、
こころもとない限りですが、AS/400では何重ものセキュリティーによってシステムが保護されています。


保全性

小さな会社では、コンピュータのための、専門のお守りを置くだけのゆとりのない場合もあります。 このようなとき、
AS/400の使い勝手のよさは効果を発揮します。
例えば、電源のスケジュール機能を使えば、無人で電源のオンオフを行うことができます。
また、ユーザージョブのスケジュール機能により、自動開始させるっこともでき、コンピュータのお守りのためだけの
早朝出勤や、遅くまでの残業をするようなことは、必要なくなります。
さらに、パススルーと呼ばれる機能を使用すると、遠隔地からのリモートでの操作も可能であり、 支店や
離れた事業所が無人であっても、システムのメンテナンスなどが可能です。




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